小学校の時、Y君という男の子がいた。
私は、3年生と4年生のとき同じクラスだった。
Y君はしゃべるときに、吃音があった。
とくに、カ行とサ行がひどかった。
また、漢字の読みもあやふやで、
読めないものも、たくさんあった。
そんな彼に、担任の長谷川先生は
必ず教科書を朗読させた。
周囲の悪がきどもは、そのうちの一人は
私だが、いつもそんなY君をひやかし、
まねをした。
そして、子ども心に不思議だったのだが
なぜ、先生はY君に朗読させるのだろうと?
先生も、私たちと同じく、彼を困らせているのかと
思っていた。
ところが、4年生の終業式の日、長谷川先生が
他の小学校へ転任することとなった。
最後のクラスルームの時間、
みんなが、先生の思い出とか感謝とかを
伝えたのだが、Y君のことばを今も忘れない。
Y君はこう先生に言った。
「せんせい、いつもぼくをだいじにしてくれて
ありがとうございました。せんせいが、いつも
ほんよみさせてくれたことを、わすれません。
どんなに、こまっても、たすけてくれなかったことを
ありがとうございました。
ぼくは、せんせいのときだけ、いちにんまえでした」
長い時間をかけて、やっと言い終えたそのとき、
長谷川先生の顔は、なみだでくしゃくしゃだった。
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